名古屋高等裁判所 昭和26年(う)570号 判決
一件記録によれば被告人が本件日本刀を所持するに到つた理由は論旨の通りであること従つてその所持の開始自体は正当防衛の結果であることは認め得られるが被告人は長嶺栄蔵が酒に酔うて本件日本刀を振り廻すので危険を感じこれを取上げたというのであるから同人の酔が醒めてそのような危険がなくなつたとき速かにこれを返還するか又はその返還の意思がないならその発見者として本件所持の当時施行されていた銃砲等所持禁止令施行規則第六条(現行銃砲刀剣類等所持取締令第二十条)によつて速かに最寄の警察署え届出づべきであつて論旨のようにその所持開始の事由が違法でなかつたとしてもこれを引続き約十日間も所持することがその所持開始の当然の結果であるとして不問に附さるべきものでなくその返還又は届出の為に要する適当な期間を徒過した以後の所持は不法所持の責任を免れ得ないものとせねばならない従つて特段の事情のない本件としては少くともその所持開始の翌日は兎も角としてその翌々日以降の所持は不法所持たることは明かであり原審の説示するところも右と同一趣旨と解せられるのであつてこの点の論旨も採用の限りでない。
(註 本刑は量刑不当により破棄自判)